歯医者での治療は痛い?痛みを感じにくい無痛治療とは?

虫歯治療などで歯医者に通う機会は誰しもあると思います。しかし、歯医者に対して「痛い」といったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、歯医者に痛いといったイメージをお持ちの方に無痛治療について解説していきます。

 

 

 

 

 

 

【歯医者の無痛治療とは?】

 

 

 

 

「無痛治療」とは、正確な定義がない言葉であり、歯科医によって異なりますが、

 

 

  1. 治療中に痛みがないように治療すること
  2. 治療後に痛みがないように治療すること

 

のいずれか、もしくは両方を意味することが多いと思います。

 

 

<診査診断中の痛みとその対応>

*器具などが歯茎や歯に触れることで痛む

→痛みが強く予想される部位は接触を避ける、事前に痛みを感じる可能性を伝える。

 

※痛みの感受性には個人差が大きいと思われます。無痛であることを優先して正確な診断ができないのであれば、痛みを伴っても正確に診断することが医療として在るべき形であると考えます。

 

 

 

<治療中の痛みとその対応>

*注射が痛い

→注射が痛くないようにする(以下詳細)

 

 

 

☆蚊に刺された時は痛みを感じませんが、その仕組みを参考にします☆

→蚊は皮膚の柔らかいところを狙って針を刺し、知覚鈍麻作用のある成分を針から注出して、ゆっくり血を吸うとのことです。

 

 

*刺さるときに痛い

→粘膜の柔らかい部分(注射を刺す部位)を診査する

→表面麻酔薬を塗って粘膜の感覚を麻痺させる(痛くありません)

→極細の注射針を使用する:針が細いほど痛みを感じにくいが、先端が変形しやすいので操作に慣れが必要です(針先が曲がると操作時に痛みを伴います)。

 

 

 

*麻酔液を注入しているときに痛い

→針をわずかに刺した後は微量の麻酔液をゆっくりと注入する

→麻酔薬が浸透した部位に針を進める

以上の繰り返しを時間をかけて行います。

 

 

*削っている最中など、施術中に痛い

→麻酔が十分に効いていないので、局所麻酔を追加します。

 

 

※麻酔の効きやすさ、持続時間には個人差(個歯差)が大きいと思われます。施術中もこまめにお声がけして無痛であることを確認するよう心掛けております。効いていない場合は、麻酔薬の量の追加、注入位置の変更、麻酔法の変更などにより対応可能です。

 

 

 

 

 

<治療後の痛みとその対応>

*麻酔がきれてから痛い

→歯科治療には、治療後に痛むものが多くございます。(以下参考:歯科治療で歯が痛くなる原因とは?)

 

 

※術後に痛みが発生する可能性のある治療については、事前に程度、期間をお伝えし、鎮痛剤の処方をご案内するようにしておりますのでご安心ください。院内処方ですのですぐにお使いいただけます。

 

※術後の痛みにも個人差が大きいと思われます。痛みの経過などで不安な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

【歯科治療で歯が痛くなる原因とは?】

 

 

 

 

治療後に痛みが取れなかったり、発生すると心配になると思います。

 

 

「虫歯を取ったのにまだ痛いんです。」

「神経を取った歯なのになんで痛いのですか?」

「詰め物したところがしみるんです。」

「歯磨きの時に治療した歯の歯茎が痛いんです。」

「歯石を取ってから、冷たい飲み物がしみるようになりました。」

というお言葉を頂きますが、それぞれに理由があり、異常なことではございませんので以下に解説します。

 

 

 

1.虫歯を取ったのに痛い(削ってから痛くなった)

 

 

深い虫歯であっても歯科医師は可能な限り神経を保存します。ただし、歯の内部の神経の状態については確定診断することはできませんので、炎症がひかなかったり、新たに発生する場合があります。

→経過観察を行い、神経の保存ができないようであれば神経を取ります。

 

 

 

2.神経を取ったのに痛い(取ってから痛くなった)

 

 

神経の炎症が強度で回復することはないと予想されるときに、歯科医師は神経を除去します。(虫歯の深い場合にそうなることが多くあります)神経を取ったあとは歯根膜という歯茎の組織が炎症を起こすことがあります。厳密には、治療した歯ではなく周りの「歯茎」が痛みを感じています。

→歯根膜の炎症がひくように、根管内(もともと神経の存在していた空間)の消毒を行います。時間の経過とともに改善する傾向がありますので、鎮痛剤を使用しながら症状の緩和を待ちます。

 

 

 

3.詰め物を入れてから痛い、冷たいものや温かいものがしみる

 

 

詰め物やかぶせ物は接着剤やセメントで歯に装着されています。

これらの硬化するときの刺激が、内部の神経に伝達されて痛みを引き起こします。また、高さが高い場合にも同様の症状が発生します。

→噛み合わせの高さの確認・調整後、経過観察を行います。改善が見られないようであれば知覚過敏の治療を行います。それでも改善が見られない場合は神経の炎症を疑います。(以下参考:詰め物で歯が痛くなった場合の対処法)

 

 

 

4.治療後に歯茎が腫れて痛い、口内炎ができて痛い

 

 

歯科医師は様々な治療の際に、痛むことのないように注射で麻酔を施します。この時に注射針は必ず歯肉に刺さりますので、治療後には傷ができます。他の歯の歯周病菌やその他の常在口腔内細菌やウイルスが傷に感染することにより、歯肉に潰瘍ができることがあります。

→歯ブラシは柔らかいもので軽く磨いてください。清潔に保っていれば1週間程度で治癒します。必要に応じて治療用の塗り薬を処方します。

 

 

 

5.歯石を取ってからしみるようになった

 

 

歯石を取る前は、歯の表面が歯石と腫れた歯茎で覆い隠された状態です。歯石を取り除くと、歯茎が引き締まり、それまで外部にさらされなかった歯の部分が露出することになります。これが本来の歯と歯茎の状態です。

 

→しばらくすると慣れることが多いです。症状が強いようであれば、知覚過敏ということになります。専用の歯磨き粉や塗り薬で対応します。

 

 

 

 

 

 

【詰め物で歯が痛くなった場合の対処法】

 

 

 

 

・治療直後

麻酔がきれてズキズキ痛む場合はまず鎮痛剤を服用してください。

冷たいものや熱いもの、上下の歯の接触はできるだけ避けてください。

 

 

 

・~治療2日後

引き続き鎮痛剤をご使用ください。不足するようであれば、市販のものも使用可能です。

引き続き冷たいものや熱いもの、上下の歯の接触はできるだけ避けてください。

 

 

 

・~治療1週間後

まずは、かかりつけの歯科医院に連絡してみてください。

当院の方針では

徐々に緩和している傾向がみられるようであれば、自然になくなるまで経過観察とします。

噛み合わせの高さを診察し、上下の歯で強く接触するようであれば、調整します。

まだ冷たいものや熱いものがしみることが多いので飲食の際はご注意ください。

 

 

 

・~治療1ヶ月後

当院の方針では

何もしていなくてもズキズキ痛い状態や、噛んで上下の歯が接触したときに痛い状態、冷たいものや熱いものがしみてから痛みの余韻が持続する状態であれば、神経が炎症を起こして回復しない状態であると判断します。

→炎症が歯の周囲の顎の骨まで広がる前に神経を取って食い止める必要があります。すでに顎の骨まで溶けてしまった場合は根管治療のみでは治癒しない場合もありますので注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

【加賀美歯科の歯科治療】

 

 

 

 

このように、歯科治療では治療中や治療後に痛みを感じるタイミングが多くございます。

さらに、治療内容によっては回数もかかりますので、何回も痛みを感じる可能性が出てきてしまいます。

それによって定期的なメインテナンスや、継続した治療から足が遠のいてしまうことは多いのですが、非常にもったいないことだと思います。

 

 

 

もちろん、患者様には歯科医院にご来院いただく時間を作ってもらう必要があります。しかし、私たち歯科医師はできるだけ継続してご来院していただけるよう配慮することも大切なのです。

 

 

 

前述のように歯科医院の受診から足が遠のいてしまう大きな理由のひとつとして、治療中の痛みがございます。痛みの感じ方については個人差がございますが、個人差もふまえたうえでできる限り痛みを感じることのないように治療を心がけております。

 

 

 

その他、患者様が治療を途中で中断してしまったり定期検診の間隔が大きくあいてしまうことの要因や背景にも時間をかけて耳を傾け、継続して治療や定期検診にいらしていただけるような歯医者と患者様の関係性の構築ができるよう努めております。